導入事例：Renishaw incise™（歯科分野）

英国に本社を置くRenishaw（レニショー）様は、世界をリードする工学・科学技術企業のひとつで、高精度計測およびヘルスケアを専門としています。歯科CAD/CAMシステム incise™で知られている同社は、東京都新宿区に日本オフィスがあります。

この画期的なシステムでは、ジルコニアを使用しています。ジルコニアは生物適合性に優れているため、口腔組織に優しく、口腔衛生を高めると言われています。また、金属を含まない土台により、より自然で、半透明な外観を実現できますが、歯科医と歯科技工士が連携しながら印象や金型加工の各製造工程でエラーを排除し、完成した修復物の精度を確認する必要があります。

独自のデジタルチェック手順による精度確認を支援するため、部品の品質評価から仕上げ後のフレームワークの目視検査に至るまで、あらゆる工程において、当社製品をご採用いただいています。

Renishaw incise™ とは

歯科分野における従来のクラウンやブリッジのフレームワークは、金属を使用していました。ですが、メタルクラウン（いわゆる銀歯）は、歯肉の後退や虫歯、着色を招き、見栄えの良くない金属の変色部分を露出させる原因となることがありました。

従来の歯科修復物製作方法を根本的に見直す必要性を感じたRenishaw様の歯科用製品事業部は、あらゆる部品の製作に強力で硬いセラミック素材であるジルコニア（図１）を使用しています。ジルコニアの優れた生体適合性によって、虫歯や着色に対する強い高い耐性をもたらし、修復物を長持ちさせます。

優れた審美性と口腔の健康維持に大きく貢献するincise™ のクラウンは、長年適合しないクラウンを使用していたケースでも効果が確認されました。例えば、歯茎の後退や黒ずみ、腐敗を引き起こしていた患者様（図２）でも、新しくincise™ クラウンを取り付けられた後、健康的で審美面でも回復（図３）が見られました。

ヴィジョン・エンジニアリング製品の適用

修復物の加工プロセス

患者様との相談を踏まえて、印象を採取した後、石膏模型が作成されます。模型の接合部を外し、細部を整えてから３次元スキャニング機器を使って、複雑な形状の予備レプリカをデジタル化します。スキャンされたデータに基づいて設計したフレームワークからポーセレンが製作され、研磨などの調整を経て、歯科医院に納品されます。

加工プロセスにおける incise™ の特徴

スキャンデータは、ジルコニアフレームワークが製造されている英国のグロスターシャー州にあるミリングセンターに電子的に送信されます。また、最終検査とポーセレン製作の際に、適合証明書が付属されています。

当社製品を使った検査

incise™ では、部品の品質評価から仕上げ後のフレームワークの目視検査に至るまで、あらゆる工程において、Mantis®ステレオビューアーをご採用いただいています。セラミックフレームワークが製作所に送られる前は、特に厳密な検査が行われます。長時間利用する際の快適性や実用性という課題 を多くの歯科製作所で使用されているMantis®ステレオビューアーが解決すると感じていただいたとのことです。

Mantisステレオビューアーの評価

Renishaw様の歯科用製品部門ディレクター兼マネージャーであるBryan Austin氏は、次のように述べています。

• 製作スタッフが顕微鏡やルーペのアイピースを覗き込むことに費やす時間を考えれば、最高の快適性と最適な明瞭さを実現する機器に投資することは当然のことでした。
• お客様に適合証明書をお渡しする以上、完璧にフィットするクラウンとブリッジを製作することが不可欠ですが、目視検査の工程を実行するために必要なものすべてを、Mantisは提供してくれました。
• 部品が機械加工された後、最終検査を受けますが、Mantisの無影白色LED光は、部品の均一性を検査するために十分な照明を提供してくれました。
  実際にフレームワークを、Mantisを備えた検査ステーションに置いた時、検査官の世界観が変わったのを見ました。