エルゴノミクスとは
エルゴノミクス(人間工学)は、人が製品や環境をより快適かつ効率的に利用できるように設計する科学です。ギリシャ語の「エルゴン(仕事)」に由来します。当社の創業本社がある英国では、1940年頃から人間工学の研究が始まり、1949年には世界で初めてエルゴノミクスに特化した専門家組織 Ergonomics Research Society (ERS)が誕生しました。その後、有名なローベンス報告を踏まえて、1974年に労働健康安全法が制定され、行政組織 Health and Safety Commission(健康安全委員会、HSC)及びその執行機関 Health and Safety Executive(健康安全庁、HSE)が発足したことで、合理的に実行可能な限りにおいて、安全であり健康への危険のない機械設備などに対する機運が高まりました。
作業者の健康と生産性の向上
被検物をより自然に観察
従来の顕微鏡では、作業者が長時間にわたり無理な姿勢を強いられ、目の疲れや筋肉疲労、反復性ストレス障害などが発生しやすくなります。これらは作業効率や健康に悪影響を及ぼすのみならず、厚生労働省が定めた「上肢障害の労災認定」の基準に、顕微鏡やルーペを使った検査作業(頸部、肩の動きが少なく姿勢が拘束される作業の例)が指摘されるほど、注目すべき課題です。
人間工学設計による解決
ヴィジョン・エンジニアリングの顕微鏡は、楽な作業姿勢を維持できるため、疲れにくく、快適で使いやすい製品となっています。従来の顕微鏡を使った作業に伴う健康上のリスクを最小限に抑え、高い生産性を実現します。その理由を以下にまとめました。
・頭の自由な動き
特許取得済みのアイピースレス設計により、作業者は上体を前傾して目の位置を合わせる必要がなく、首や肩、背中の痛みを軽減できます。
・自然な観察環境
目をアイピースに近づけずに観察できるため、周囲の照明が遮られず、瞳孔の負担を軽減します。被検物をより自然な状態で観察できます。
・メガネや保護ゴーグルの着用が可能
従来の顕微鏡のように覗き込む必要がないため、メガネや保護ゴーグルを着用したままの検査なども、快適に行うことが可能です。
・手と目の自然な連動
頭を大きく動かすことなく被写体を目視できるため、周囲を確認しながらスムーズに手を使うことが可能です。

よくある質問(FAQ)
Q1. 人間工学設計の顕微鏡はどのような作業現場に適していますか?
A. 長時間の精密作業を必要とする製造現場や研究機関など、作業者の健康と生産性が重視される現場に最適です。例えば、電子機器の製造におけるプリント基板、メッキスルーホール、コンポーネント、はんだマスク、はんだ接合部の検査や測定に最適です。その他にも、医療機器の製造、細胞/バイオサイエンスの研究、精密エンジニアリング、焼結前または焼結後の金型ツール、成形部品、3D印刷物、ジュエリー、時計製造などの現場に適しています。
Q2. アイピースレス設計の特許について教えてください。
A. ヴィジョン・エンジニアリングのアイピースレス設計は特許取得済みで、作業者の快適性と生産性向上に大きく貢献しています。
参考文献等
- 一般社団法人 日本人間工学会( https://www.ergonomics.jp/ )
- Chartered Institute of Ergonomics & Human Factors( https://ergonomics.org.uk/about-us/our-story.html )
- Health and Safety Executive( https://www.hse.gov.uk/msd/msds.htm )
- 厚生労働省「上肢作業に基づく疾病について」( https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-13.html )