1993 年に英国で設立されたAir Bearings Limited(エアベアリングスリミテッド)様は、空気軸受ソリューションで世界をリードする企業として、2007年より日立グループのビアメカニクス株式会社様の連結連結子会社となっています。
様々な専門用途向けに、高品質で競争力の高い価格設定のエアベアリング軸の設計、製造、サービスに従事しており、精密研削、非鉄旋盤、ミリングや PCB ドリルなど、特定産業アプリケーション向けに軸を提供しています。
同社の主軸は最大35万 rpmという驚異的な速度で回転するため、部品の精密検査は、その卓越した性能を維持する上で不可欠な要素となっていることから、当社のアイピースレス・ステレオズーム顕微鏡を使って、機械加工部品の重要な検査を行っています。
Air Bearings Ltdのこだわりとは
Air Bearings Limited様が製造するスピンドル(下図)は、8万 rpmから脅威の35万 rpmで動作するため、重要な部品をサブミクロンの精度で加工することが不可欠になります。そのため、ほぼすべての部品を社内で製造し、加熱処理、陽極酸化処理、シャフト銅メッキなどの専門工程など、ごく一部の作業だけを外注しています。
シャフトを動かす電動モーターの半分は銅でできています。超高速で回転するスピンドルの回転軸にミリングされた溝に埋め込む銅が回転の遠心力で浮いてしまうと、機械全体が壊れるほどの大事故につながります。そのため、銅がシャフトのスチールに接着していることが不可欠となります。
すべての機械加工部品に細心の注意い、組み立て後、軸に影響を与える可能性のある欠陥を徹底的に検査するという強いこだわりから、同社は生産工程全体を通じた品質管理の統合を行っています。
ヴィジョン・エンジニアリング製品の適用
回転シャフトの光学検査
回転シャフトの溝は、金属表面にバリ、侵食エッジ、傷跡があるかどうか、また銅がスチールに完全に密着しているかを精密に検査する必要があります。あまりに微細で、部品によっては公差を割り当てることができないことから、重要度が低い部品に対するバッチ検査と違い、光学検査による全数検査が不可欠となっています。同社では、目視では判断が難しい微細な欠陥を客観的に評価し、厳格な品質管理手順を遵守する検査ソリューションを模索していました。
エアベアリングの噴出孔検査
軸の主要部品である回転シャフトの検査以外に、空気のフィルムを制御するエアベアリングの検査があります。エアベアリングの内部がクリーンであるか、形状や奥行が完璧であるかを確かめなければ、気流に問題が生じます。わずかな欠陥が、瞬時に致命的な故障を引き起こす可能性があるため、とりわけ正確に行う必要があります。しかし、エアベアリングの噴出孔は開口部がミクロン単位と極小で、従来の顕微鏡では観察が困難なだけでなく、作業者に多大な目の疲労をもたらしていました。
当社のアイピースレス技術の採用
精神的にも体力的にも厳しいこのような検査環境の改善に採用されたのが、Lynxアイピースレス・ステレオズーム顕微鏡でした。Lynxは、特許取得済みのアイピースレス技術を採用することにより、従来の双眼顕微鏡のアイピースを不要にした画期的な顕微鏡です。この技術により、オペレータは目の疲労から解放され、快適性および生産性や検査精度の向上を可能にしました。さらに、傾斜・直視ビューアーを用いることで、エンジニアは部品を34ºの角度で360º回転させて、あらゆる方向から検査できるようになりました。また、付属カメラで疑わしい箇所をデジタルで記録し、品質文書として管理することも可能です。
Lynxアイピースレス顕微鏡の評価
同社の品質担当者様のAdrian Farwell氏は、Lynxアイピースレス・ステレオズーム顕微鏡を次のように評価しています。
- まず、アイピースがないことに大変感銘を受けました。以前の顕微鏡と比べて目の疲労が少ないからです。
- その上で購入の決め手になったのは、傾斜・直視ビューアーの性能でした。傾斜ビューアーのおかげで3次元での視野が生まれますが、これを実現する方法は他にありませんでした。
- 当社製品の品質管理にLynxは大きく貢献しています。大変価値が高く、神の恵みのようなものです。
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜAir Bearings Ltdの検査は厳格なのですか?
A. 同社のエアベアリング軸は最大35万 rpmという超高速で回転します。そのため、サブミクロン単位の微細な欠陥が、製品全体の致命的な故障に直結する可能性があるからです。
Q2. Lynxを導入した決め手は何でしたか?
A. 目の疲れが少ないアイピースレス技術に加え、部品を様々な角度から簡単に立体観察することができる「傾斜・直視ビューアー」の性能が、購入の決め手となりました。
Q3. アイピースレス顕微鏡を導入したメリットは何ですか?
A. 従来は見えにくかったシャフトの溝や噴出孔の内部まで正確に検査できるようになったことで、製品の信頼性が向上しました。同時に、オペレータの身体的負担が大幅に軽減され、生産性の向上にも繋がっています。
まとめ
Air Bearings Ltd様は、Lynxアイピースレス顕微鏡という先進技術を導入することで、厳格な品質管理体制をさらに強化しました。熟練の技術と最新の検査機器を組み合わせることで、同社はより小さく、より早い軸への需要に応えながら、世界トップレベルの性能と信頼性を顧客に提供し続けています。