レニショーはヴィジョン・エンジニアリングのマンティス ステレオ ビューアーを採用して、完成した歯科フレームワーク製品の品質、精度、適合性を検査しています。

33 年以上に渡り革新的な測定ソリューションを製造してるレ二ショーは近年、クラウンやブリッジのフレームワーク向けの優れた正確な工程が歯科業界にも必要であるということに気づきました。

これによりレニショーでは、歯科医の第一印象に始まる各工程段階で正確に焦点を合わせる革新的な歯科 CAD/CAM システムinciseTM を設計・開発しました。

デジタルチェック手順

独自のデジタルチェック手順を支援するため、機械部品の品質評価から仕上げ後のフレームワークの目視検査に至るまで、全工程にレニショーではヴィジョン・エンジニアリングの Mantis® ステレオビューアーを利用しています。

レニショーの歯科用製品事業部は、歯科修復物を製作する従来の方法の抜本的な見直しを行いました。 これにより、inciseTM が生まれ、すべてのセラミック部品の製作に革新的なソリューションが実現しました。

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今までの歯科産業では、クラウンやブリッジのフレームワークの製作には金属が使われてきました。 メタルクラウンは、歯肉の後退、虫歯や着色しやすい見栄えのよくない金属の変色部分を露出させる原因となることがあります。

レニショーの inciseTM 処理では、ジルコニアと呼ばれる強力で硬いセラミック素材を使用しています(図 2. 参照)。 この素材は生物適合性に優れているため、口腔組織に優しく、口腔衛生を高めます。 また、金属を含まない土台により、より自然で、半透明な外観を実現できます。

inciseTM 処理が実現する高い適合性は、虫歯や着色に対する高い耐性により、修復物を長持ちさせます。 開始から終了までのプロセス全体の精度を最適化するために、レニショーでは、歯科医師や歯科技工士と緊密に連携することで、完成した修復物の全体的な品質を改善させました。

レニショーは、印象や金型加工の各段階でエラーを排除し、完成した修復物の精度を確認するためのガイドラインを提供しています。

歯科修復物加工工程の概要

まず最初に、患者は理想的なあごを修復するか審美性を向上させるか歯科医と話し合いを行います。 レニショーの実績ある技術と素材を使用して、歯科準備を行い、歯科医は歯と歯周辺組織の印象を取ります。

患者に暫間修復物が取り付けられ、患部の保護を行ってから、印象は患者の臨床情報と合わせて歯科研究室に送られます。

この初期段階においても、印象に欠陥がないことが重要になります。 印象から、患者の咬合をあらわす上あごと下あごが繋がった石膏模型が作られます。

模型を切り取り、接合部を外し、細部を整えてから inciseTM スキャニング機器を使って測定を行うことで、3次元の石膏模型が完成します。 機器は接触スキャニング装置を用いて模型をスキャンし、複雑な形状の予備レプリカをデジタル化します。

スキャンデータは、その後、ジルコニアフレームワークが製造されているグロスターシャー州にあるレニショーミリングセンターに電子的に送信されます。

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レニショー inciseTM フレームワークには適合証明書が付属されており、元の石膏模型とフレームワークの適合分析が示されています。 ポーセレン製作のためにジルコニアフレームワークと証明書が包装され、歯科製作所に返送されます。 その後、完成した修復物は、証明書と共に歯科医に返送されます。

歯科医は、仮歯を取り除いてから inciseTM 修復物を取り付け、歯の色がマッチしているか、歯の周辺部と縁が合っているかを確認して作業を終了します。 歯科医、患者が満足すれば、クラウンやブリッジがセメントやボンドで永久的に接着されます。

図 3 は、4 本の前歯セラミック外被冠を示しており、そのうちの 3 本は 30 年間使用されたものです。 クラウンが合わないと、歯茎が後退し、歯茎が黒ずみ腐敗を発生させるのは明らかです。

図 4 で示されているのは、新しく取り付けられた inciseTM クラウンを着けた同じ患者です。 歯茎は非常に健康的で、審美面でも素晴らしい結果が得られています。

セラミックフレームワークが製作所に送られる前に、ヴィジョン・エンジニアリングのマンティス ステレオ システムを使って検査されます。

レニショーは、 マンティス エリート ステレオ ビューアーと多くのインライン マンティス マクロ ビューアーに投資してきました。 部品が機械加工された後、最終検査を受けます。 マンティスの無影白色 LED 光は、部品の均一性を検査するために十分な照明を提供します。

レニショーがいかにピッタリな歯を製作するか

プロジェクトの初期段階で、レニショーはルーペを含むいくつかの検査方法を利用していました。 この方法は適切な倍率を提供するものの、とりわけ長時間利用する場合は、そのような機器を使っての検査は実用性に欠け、理想的ではありませんでした。

レニショーの歯科用製品部門のディレクター兼マネジャーである Bryan Austin 氏は、プロジェクトの初期段階で、数々の歯科製作所を訪れ、ヴィジョン・エンジニアリングのエルゴノミック マンティス ステレオ ビューアーがどのように使用されているかにすぐに気づきました。 Bryan Austin 氏は以下のように説明しています。

「製作スタッフが顕微鏡やルーペのアイピースを覗き込むことに費やす時間を考えれば、最高の快適性と最適な明瞭さを実現する機器に投資することは当然のことでした。

「マンティスは、目視検査の工程を実行するために必要なものすべてを提供してくれました。 顧客に適合証明書を渡す以上、完璧にフィットするクラウンとブリッジを製作することが不可欠です。

「我々はマンティスを使って機械加工部品の検査を行っているため、inciseTM スキャニング機器の出す寸法が正確であることに自信をもっており、患者の歯とそっくりな義歯の製作が可能になっています」。

検査ステーションが検査官の考え方をいかに変えたかを、Bryan 氏は続けてこう説明しています。 「マンティスを使って検査ステーションを設計した後、検査官が物理的にフレームワークをシステムに移動させ検査手順を行った時に、彼らの考え方が変わったのを理解しました」。

inciseTM スキャニングシステムは、 BS EN ISO10360 パート 4 (接触スキャニングシステムの精度に関する国際基準) の認可を受けており、すべての修復物は、BS EN ISO13485 品質システムの下で製作されています。

レニショーは、inciseTM システムのような画期的な測定ソリューションと実績ある技術を歯科技術を含む医療機器産業に導入するとともに、高い精度と品質基準を打ち立てました。